考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

雑感

https://www.nhk.or.jp/d-navi/19inochi/


久しぶりに奈良の王寺で飲んだ。

前の職場の利用者だった人たちと。
それぞれある種の病気を抱え、“障害者”という枠で働いている。

人生の先輩であるその人に、王寺のおいしい飲み屋さんに何度か連れていってもらって、僕は奈良市の飲み屋街であるはずの、自分の独り暮らしのアパートのある新大宮よりも、王寺の飲み屋に詳しくなった。


今日はその先輩と、もうひとり別の女の先輩と3人で飲んでいた。

おいしい飲み屋さんで近況やいろんな話をして、二件目はたまたま目に入ったミスドの話で盛り上がり、飲むのではなくドーナツを食べ、最後は定番の王寺ラーメンでしめた。

ここのスタミナラーメンは、白菜の甘味がよく出ていて、優しくておいしい。

女の先輩が、「19のいのち」という、やまゆり園の事件についての様々な意見を集めているNHKのサイトの話をしていた。
そこに以前意見を投稿したらしく、忘れた頃に、記者の人から取材の依頼が来たらしい。

その事件について、僕もどう思ったか聞かれて、2年半前のことを思い出した。

植松容疑者が、殺した理由について述べた「生産性」というテーマでいろんなことがメディアで語られていたし、自分もそのことについて考えていた。

容疑者はただ、人を殺したかっただけで、理由は自分の行動を正当化するためのあとづけだったんじゃないかという意見もあったけど、彼の言葉に日本国民があれだけ反応したこと自体が、この国の闇を明るみにしたようにも思う。

競争社会とか、ひとりの人間の価値の大きさに差があるという幻想とか、その善悪とか、価値観にスポットが当たっていて、それを否定する意見も肯定する意見もあったけど、その幻想が一定数の人の生きづらさにつながっているのだとは思った。


障害のある人と関わる仕事を今自分もしていて、一人一人個性が強くておもしろいから、どっちの方が上とか下とか考えることがまずないし本当に無意味だと思うんだけど、スクールカーストのある中学校や、成績を残すことが評価される条件みたいな職場や環境では、そういう幻想があるだろうし、過去には自分もそんな場に身を置いていた。

育て親に、能力や結果で評価されることもあったから、自分の、自分自身に対する評価も、そういった軸によるものだったとも思う。

ただまあ、福祉の仕事についてそういったものから解放されて楽になれたから、他人から見た自分の評価が本当に重要でなくなって、自分も人を、相性の良し悪しや好き嫌いといった判断以外で評価しなくなった気がする。

これだけ多様な人がいる社会で、ひとりの人が複数のコミュニティに所属することが多い世界で、自分から見たその人、というあまりに少ない情報で人の価値を評価することは馬鹿げているとさえ思うのだけど、中学生の頃の自分は、所属コミュニティが少なくて、そのどれも窮屈で、もっと多くの外部の人と繋がれていたら楽だったろうにと、高校や大学に入った後で思ったのを覚えている。

自分は大学以降、いろんな人と出会い、どんな特徴の人が自分に合うか、自分は好きかということを、社会一般の評価から離れて気づくことができて楽になれた。

寛容さ、大胆さ、繊細さ、カリスマ性、柔軟性、悩むことへの耐性、一貫性など、たくさんのベクトルで人を捉えることができて、そのそれぞれに、自分にとってのちょうどよさを感じる人が現れたら、それに自分を近づけていくことで、ちょうどよい、理想的な自分に向かっていける。

それは完璧な人でもなんでもなくて、なんとなく気持ちいい自分のあり方。自己一致みたいなもので。

それさえできたら、他人の評価なんかわりと(全く、ではないけれど)どうでもよくなるし、自分が人を評価する必要もなくなるんだよな。

逆に、その人がその人らしくいれてるかってところに気が向くというか。

まとまりないけど、なんとなく、書きながら考えてみたくなったので、駅前のゲストハウスのカフェでココアを飲みながら書いてみた雑感。

職場に働きかけること。

 

土日が休みではなく、月ごとに決まった日数の休日がランダムに振り分けられる福祉の仕事。

今月は前半に休みが固まっていたために後半休みが少なくてハードで、5連勤の2日目が終った今の時点でもうすでにまあまあしんどい(今日は寒い中、夕方に1時間半の散歩のガイドヘルプもあったからかな。)のだけれど、少し時間があるので、ブログを書いてみる。

 

最近良く考えている、「職場に働きかけること」について。「職場で働く」のではなく、職場に働きかけて変化をもたらすこと。

 

 

デンマーク留学中に習った「環境」の大切さ

2017年の春、僕はデンマークのノーフュンスホイスコーレという学校にいて、日本人の先生にデンマークの福祉職の人たちの考え方などを教わっていた。授業ではデンマークの職場環境がどのように整えられているか、たとえば職種別労働組合がどのように現場で役立っているかなどを時間をかけて教えてくれた。その内容の一部は以前このブログで書いた。

最近、職場のあるチームでこのことを紹介した際に調べていたら、デンマークの労働環境局(The Danish Working Environment Authority)のページにも職場環境の改善の方法について載っていたので、そのページも、英語かデンマーク語だけどシェアしておく。

 

nordfyns.nu

kikikiron.hatenablog.com

 

The Danish Working Environment Authority

https://amid.dk/en

 

 

大学で臨床心理学を勉強していた僕は当時、個人の脳とか心理とか内面的な部分ばかりを学んで考えていたので、外側に目を向けるデンマークの福祉の考え方は新鮮で、同時に、環境の変化で僕自身楽になれた経験がこれまでたくさんあったので、とても腑に落ちる内容だった。

 

さて、学んだことをどうやって日本の福祉の現場で生かしていこうか。

そう思いながら今の職場に就職して1年と3ヶ月くらいになるけれど、これまでにやってきたことをいくつか書いてみる。

 

仕事の満足度について職員にウェブでアンケートをとって結果を発表した。

僕の今の職場は、例年新人のスタッフに1年を通して考えてきたことなどを他のスタッフの前で自由に発表する場がある。

若手のスタッフから、労働時間の長さなどを不満に思う声をいくつか聞いていたので、

「だったらきちんと話し合えばいいんじゃないか」と思って、この機会を利用して、労働時間、休日、働き方についてどう感じているか、不満な点はないかなど、アンケート調査をして結果を発表した。

不満な点だけでなく、働きやすい点についても聞いたら「人間関係がいい」と多くの人が答えてくれたので、発表はかなり緊張したけど、それなりに上層部の人たちも受け止めてくれた。

それ以前にも法人内で、長時間労働について改善しようという動きがあったそうだが、休憩時間の導入なども含め、それぞれの部署のリーダーの人が考えてくれ、スタッフが働きやすいようにすることを現場で若手スタッフも含めて話し合ったりする機会が増えたという話は聞いていて、やって良かったと思っている。

 

とはいえ新人がこういうことをすることへの批判も一方ではあったし、普通の職場だとわりと難しいと思う。僕の職場は寛容だし、非官僚的なフラットな組織だからできたと思っている。

 

 

福祉ホームに本棚を置いた。

jp.toto.com

POST-OFFICE

馬場正尊さんという人の本に最近はまっているんだけど、この本で、ミーティングに使用する机の形を変えてみるとか、会社にバスケットボールのコートを作ってみるとか、働きやすい仕事環境を作るためのアイデアや事例がたくさん書いていておもしろい。

 

これを読んでやったわけではないんだけど、年末、別の部署で大掃除をして出てきた使われなくなった本棚を、僕が働く福祉ホームの一角に持ってきておいてみた。

 

福祉ホームは障害のある人たちが暮らす住居なんだけど、職員にとっては職場という、微妙な空間だ。職員はメンバーの介助とか掃除とか料理とか、やることがたくさんあってばたばたしてることも多いんだけど、休日などは余裕のある時間もある。

 

けれど、いったんその空間で仕事モードになってしまっていると、余裕があっても職員に「その人らしさ」というか、プライベートでは持っているような個性とか味わいのようなものが出にくいと感じていた。

 

そこに本棚を置いて職員に好きな本を持ってきてもらったら、その人がどんなことに関心があるかが互いにわかるし、それを機に会話も広がると思う。

職員自身も仕事中に自分の好きな本が目に入って少し落ちつくかもしれない。

 

障害のある人に「その人らしく過ごしてほしい」と思うなら、職員もなるべく自然体で関わったほうがいい。そんな思いもあって、本棚を置いてみたら、後輩が早速AKBの写真集を持ってきてくれたり、花を飾ったり、お勧めの本を紹介するためのコルクボードを置いてきてくれたりして活用してくれた。

 

他のスタッフの人たちも、好きな本もって来ていいの?と聞いてくれたりして好評な感じだ。本が増えて、その本をゆっくり、障害のある人もスタッフも一緒になって読む時間なんかが今後できたらいいと思う。

 

 

夕食に味噌汁を作る。

福祉ホームの夕方勤務のスタッフは、夜9時や10時まで仕事があるので、仕事中に住人の人たちと一緒に夕ごはんを食べる。住人には配食サービスの職員の人たちが作ってくれるご飯があるのだけれど、職員にはそれがないので(買えば食べれるが少々値が張る)、弁当を作ったりコンビニで買ったりして食べている。

 

僕は元々料理が好きなのと、自分も晩ごはんに温かくておいしいものが食べたいという思いが強かったので、仕事中に空いた時間を見つけて味噌汁やスープを作るようにしている。

材料費は自腹やけど、汁物は5人分くらい作ったところで400円もしないことが多くて、具沢山のものがあればおかずはサバ缶とかでも僕は満足できるので合わせてもコンビニ飯より安く済む。

 

他の職員に喜んでもらえるし、仕事中に好きな料理ができるし、温かい食事に自分も満足できるし、安くつく。一石四鳥くらいにはなっているし、慣れれば効率よくできてあまり手間もかからないのでいい。

 

 

ボードゲーム会の企画

仕事終わりにボードゲームをする4人くらいの集まりを、何回か企画している。

幸いうちの職場には住み込みで働いている人がいて、その人の部屋の隣の部屋を利用してやっている。仕事終わりに、他の部署の人たちも交えて集まって、オフのモードに切り替えてお酒を飲みながらボードゲームをするのはすごく楽しい。

 

職場の人とオフの時間に関わりをもってその人の違う側面を知れたら、つまり仕事と違う部分でもその人とつながれていたら、仕事中のコミュニケーションもスムーズになるって、仕事にとってもプラスだと思う。

それを仕事終わりの時間に職場のすぐ近くでやれば、わざわざ休日などに集まってやる手間が省けてハードルが下がるから、頻度も高くできるし、続けやすい。

 

これからじわじわと、ボードゲームにはまる人間を増やしていくつもりでいる。

 

これからやろうとしていること

使われなくなった棚を最近またもらったので、それを横にしてプランター代わりにし、福祉ホームの外の使われていないスペースを利用して野菜を育てようと思っている。もう少し暖かくなってからのことだけれど。使われてないスペースがたくさんあるので、不要な木材があれば集めてそれでプランターを作って、いずれは庭のようにしていくつもりだ。

 

心がけていること。

自分のお金や、いらなくなったものを使って勝手にやること。

ここに書いたことは、すべて自腹か、不要なものを使ってやっている。

ボードゲームは同僚と買いに行ったし、本棚は捨てられるはずだったものを再利用している。味噌汁の具材も自腹だ。

 

頼まれてやるならもちろん経費として請求するけど、やりたくてやるなら、まずは自分のお金でやってみたらいいと思う。会社にお金をもらいながらすると、制約ができてしまって不自由になる気がする。

スピード感を持って、良いと思ったことを実験的にやっていきたければ職場のことでも、必要なものは勝手に自分のお金で買って、試してみたらいいんじゃないかと思う。

とはいえ福祉職の安い給料だけではすぐ限界が来るのは目に見えているので、今後お金の勉強をして投資などもしようかなと思っている笑

 

もちろんお金を払ったからって一人で好き勝手にできるわけではなく、住人や同僚の意見も聞きながら進めていく必要があるし、他の人を巻き込んだ方が楽しい。そうして巻き込んでいった延長上に、同僚からも新しいアイデアがたくさん出てきてクリエイティブな職場になったらもっと仕事が楽しくなると思いながら、最近の僕は働いている。

 

 

図書館に関するあれこれ③

休日だった。

僕が今本業にしている福祉の仕事は休みが不定で月ごとに決まる。

休日の数はその月の土日祝の合計数と同じだから、1月は正月の出勤がある代わりにその分の休日が分散されるので全体的に休みが多くなる。

 

それにしても最近休みが多いなあ、なんだか余裕があって気分がいいなあと思って手帳を見ると、宿直明けを休みにカウントすると1月の前半は15日中5日しか勤務がなかった・・・

その分後半がハードになると思うと恐ろしい笑

 

 

ここ最近、2回続けて図書館の話を書いていて、そろそろ飽きてきたので、笑

今日で終わりにしようと思う。

まあ、また書きたくなったらしばらくしてから書くと思うけれど。

 

kikikiron.hatenablog.com

 

kikikiron.hatenablog.com

 

 

今日は朝から本と服を買いに行こうとして最寄駅から一駅のところにあるショッピングモールに出かけた。

そこの書店で見かけたキングコングの西野さんの「新時代」という本がおもしろくて、立ち読みしていた。これからはお金より信頼を貯める時代だというようなことが書かれていて、そこで紹介されている西野さんの周りの人たちのエピソード(特に1日50円で働く人)がすごくおもしろかった。

 

京大卒のphaさんとか、はてなブログで人気の 坂爪圭吾さんとか、有名な人も 一定数いると思うけど、定職につかずにユニークな生き方をしている人の暮らしを知るのは、一箇所に落ち着くのが苦手な僕みたいな人間にとっては生きていく励みになる。

 

目当ての本を買った後、図書館で借りている本「ホモ・デウス」をスタバで読む。

ほどよいところで一度家に帰って休んでから、他の本も読みたくなって図書館へ行く。お金のことを、少し勉強したかった。

www.kawade.co.jp

 

結局、今日は1日中本ばかり読んでいた。

 

誰かが何かの本で、「お金は欲望の象徴」だと書いていたけれど、

僕にとって図書館は知的な欲望を掻き立てると同時に満たしてくれる最高の空間だ。

お金は無限になくていいけど、図書館の本は、一生読みきれないほどたくさんあってほしい。

 

幸い僕の家の近くの図書館は大きくて蔵書数も多い。

多くのコーナーに興味をひく本が置いてあって、図書館なので時間の許す限り無限に読むことができる。

ホモ・デウスの著者風に考えたら個人の脳内で勝手に起きているドーパミンの分泌なんて取るに足らないことなんだろうけど、それでもやっぱり僕にとって、自身の頭で起きていること、考えていることはすごく重要だ。

 

 

 

余裕のある日々。

12月が忙しくてしんどかったから、その反動で1月は休日にもあまり予定を入れていなくて、特に前半はさっきも言ったように仕事が少ないから、すごくゆったりしている。

 

そんなとき思い出すのが、おととしデンマークに留学しようとしていた4月のこと。

出国予定日に、パスポートの期限がヨーロッパに渡航するのに必要な期間残っていなくて、出国できず、パスポートを更新してから一週間後に旅立たないといけなくなった時期のこと。

 

本当ならデンマークにいるはずの一週間を日本で過ごすことになり、当然バイトも入れていないし、予定のない1週間が突如現れた。

本来ならデンマークでいろんなことを学べていたはずなのにという後悔と、この期間を無駄にしたくないという思いがあって、毎日のように図書館に通って北欧関係の本を読み漁って勉強していた。

 

利用していたのが京都府立図書館。地下と1階をつなぐ螺旋階段がおしゃれで、ゆったりとした居心地のいい図書館だ。近くに平安神宮やツタヤ書店、スタバもあって、観光客も多いけれど休日には地元の人が手作り市もやっている。本を読むのに疲れたらふらっと散歩してリフレッシュできるし、コーヒーを飲みながら勉強したければ歩いてすぐのスタバいけばいい。良い立地だと思う。

 

 

www.library.pref.kyoto.jp

 

留学する前、デンマークのことをいろいろ調べていて、幸福度ランキングが上位の国だと知った。自殺や精神病の問題に関心があった僕は「幸福」とはなんなのか、人はどうしたら幸せになれるのかに興味があったから、社会民主主義福祉国家の現状について調べるだけでなくて、「幸福」というキーワードも検索機に入力した。

 

www.asahi.com

 

そうして見つけた「世界幸福度ランキング上位13ヵ国を旅してわかったこと」という長いタイトルの、ドイツ人の女性が書いた本は、北欧だけでなく、南米やオーストラリアなど、さまざまな国の文化圏で楽しく生きる人たちの生活の一面や、大事にしていることがたくさん書かれていて、現地の人たちのインタビューや著者の経験したエピソードがおもしろく夢中になって読んでいた。

 

お金がなくても、家族や友人といる時間を大事にすること。

仕事に追われるのではなく、自由な時間を十分に持つこと。

 

その本から伝わってきたのは、ものすごくシンプルなメッセージなのだけど、意識しないとついつい忙しくしてしまう僕には、ありがたいものだった。

 

そのあとデンマークで過ごした時間は、同じタームの学校の人たちと過ごした時間が豊かだったし、午後3時に授業が終って自由な時間がたくさんあったから、その分学びたいことをたくさん学べた。

 

今は一人暮らしだけど、自分に帰ってきてからも、お金をかけずに人と過ごす時間を大事にしている。

 

図書館に行けば、自分が今何に関心を持っていて、何を知りたいかということに素直になれる。そこで得た知識から、日々の人生をさらに自分にあったものに変えていくこともできる。

 

自分は旅行をして、その地域の人の生き方から学んで良いと思ったものを真似ることも多いんだけど、図書館も、よりハッピーに生きるきっかけがたくさんある場所だなあと。

直接著者に会って話を聞くわけではないけれど、著者の体験を一緒に体験してる感覚になったり、著者の意見を聞いて対話している気分になったりと、紙媒体を通して人と関わる経験でもあるんだと思う。

 

直接人と関わることも今の自分にはすごく大事だけど、本を読む時間もずっと大事にしたくて、いい図書館と本がたくさんある国に生まれて良かったなと感じている。