考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

パナマ文書に感化されて読み始めた本と津村記久子さんの本

 

要するに最近読んでる本の紹介だ。

 

 

いや、元はと言えばパナマ文書で指摘されたようなグローバルでクレイジーな規模での脱税が起きる原因とか、それを防ぐ方法とか、あるいはそういった脱税による損益の規模を縮小したりするためにはどういった租税システムや法律があればよかったのかとか、そういうことを調べてまとめて自分の意見としてブログに書くつもりでいた。

もちろんそれができるに越したことはなかったんだけど、分かったことと言えば21世紀の税の制度っていうのは素人が理解してブログにまとめるには複雑すぎるということと、自分が怠け者だということぐらいだった。

 

 

つまり、断念したのだ。まとめることを。

 

 

とは言え、いろいろと本を読んでみて勉強になったし、お金の動き方であったり気づかないうちに徴収されていく税金の行き先とか無駄遣いとか格差が広がっていくスピードをちょっとでも緩める方法とか、そういうものをもっと知っとかないといけないと思ったので、自分への戒めの意味も込めて、これから読み進めていこうと思ってる本をここに載せたい。

 

 

 

 

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この本は、日本の税のしくみを知りたいと思ったら最初に読むといい教科書的な本だ。所得税法人税、消費税などを章分けして素人にも分かりやすくその仕組みや特徴について解説されている。

 

「パナマ文書の脱税が法人税所得税で、それが脱税されやすいのであれば脱税しにくい消費税中心の租税制度をとればいいんじゃないの?

消費税は逆進性が指摘されてるけど、消費税も結局のところ多くお金を使う金持ちのほうが納税額は多いはずなんだし、そこから集めた税金を、給付金って形で生活の厳しい人に回すほうが、格差の是正のためには累進課税よりも直接的で効果的なんちゃうの?」なんてことをこれを読む前は考えていた。

だけど、バブル崩壊後には7000億円の消費税滞納があったとこの本に書かれていて、消費税ならちゃんと徴税できるというわけでもなく、そんな単純な話ではないなと気づかされた。

 

終盤の「国際課税」の章では税が低課税地に向かっていく仕組みや、グローバルトレーディングで何京(1京=10000000000000000)円もの金が動き回っていて、その結果特定の国の経済を疲弊させて、間接的に罪のない国の国民を苦しめることが起きている、なんていう話もある。

国際的な金融取引に低率の税をかけて為替相場を安定させようとするトービン税の紹介やその実現の困難さなどにも触れている。

 

税制とか、自分が払った税金の動き方なんかをおおまかに知ることができる本です。

 

トービン税とは?

http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/tax/09111301tax.pdf

 

 

さてさて、お金の話をするのは個人的にはすごくおもしろいんだけど、そればっかりだとどうしても飽きてしまうので、パナマ文書とは全く無関係に最近はまっている津村記久子さんの本を間に挟みながら、というより、両者を交互に紹介していきたい。

 

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芥川賞とか太宰治賞とかに関心のある方は津村さんの名前を必ず聞いたことがあるはずなんだけど、そういうものに無頓着な僕はこの人が『ポトスライムの舟』という作品で2009年に芥川賞受賞を受賞したことをはじめ全然知らなかった。

 

以前ブログで紹介してあとでもう一度紹介するある本に惚れてからこの人の書いたものをこのんで読むようになったんだけど、今まで3冊(残りの2冊は以前ブログで紹介してあとでもう一度紹介する)読んできたなかで、「やりたいことは二度寝だけ」が一番笑える。
エッセー集なんだけど、エッセーらしく季節のうつろいを感じたり、ふとひとりで海に行ってみたり小学生の男の子と話してみたりしてそれを美しい文章にするなんていうことが全然なく、インターネットで検索したことに関していろいろ書いてるだけなのである。

そこに現れてくる筆者の考え方がすごいだらしなくて親しみが持てる。筆者自身が「常に気安い人間に見られて人を油断させたい腹黒いわたし」と自分のことを評しているのだから間違いない。
 
たまたまこの人の出身高校が僕の兄の母校で、出身大学が今の僕のバイト先の近所だったというのも親しみが持てる。それはまあ、どうでもいいか。
 
 


 

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タイトルがかっこよすぎると思う。逆襲なんて言葉、「ミュウツーの逆襲」以外で聞いたことがない。「慧眼」なんて言葉まで使っちゃって、すごいキャッチーなタイトルを付けたなあと思う。
そもそも、ハイエクという人の名前を知っている人はどれくらいいるのだろうか。
 
ケインズは高校の世界史で習うしそれなりに有名だけど、それでも経済学をかじったことがなければ、ニューディール政策に影響を与えたことくらいしか知らない人が多のかもしれない。
 
そういう僕も、不況のときに政府が公共事業にお金を使って失業を減らし有効需要を作り出すことを正当化した人、くらいにしか知らなかったんだけど。
 
 
新自由主義の理論的根拠となったとされるハイエクと、その逆に、政府の経済への介入の必要性を訴えたとされるケインズ。実はその両者の理論から共通の示唆が導き出せるという話。
 
リンク先のこの本の紹介にあるように、たしかに知的興奮にあふれてはいるんだけど、中盤のルーカスモデルなんかは素人には難しいし、筆者の論理が少しこじつけに感じられてしまう部分もあります。
まだ途中なので、ちゃんと読んでからもっかい評価したいですけど。
 
日本の政策がアメリカの悪いとこどりばっかりしてる、なんて言われているけど、ヨーロッパやスウェーデンのモデルにすれば本当にいいのかとか、右派とか左派っていったい何なんだ、っていうことを考えるヒントにもなる本です。
 
そんなん考えたところでどうなるねんって感じではあるけどね。
 
 
 

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この本の前半に「職場の作法」という、同じ職場の複数の人に順番に焦点をあてて描いていく短編集があるんだけど、個性のあるそれぞれのキャラクターは実はすべて著者、

津村さん自身の一部から作られたのではないかと、前述の「やりたいことは二度寝だけ」を読んで思った。

インターネットでやたらと検索する癖も、応援してるスポーツ選手が悉くダメになってしまうのも、「やりたいことは~」に津村さん自身のエピソードとして出てくるのだ。

 

解説で西加奈子さんが「『取るに足らないとされていること』や、『確実に起こっているけれど覚えておくまでもないとされていること』を積極的に書いてくれている」と書いているがほんとその通りで、華やかさも爆笑するようなおもしろさも痛烈な悲嘆もないために普段は忘れているけれども、同様のことをかつてきっと自分も経験してきたし、その時には確実に何かしらを感じてたなあと、忘れていた些細な記憶を呼び起こしてくれる貴重な本だと思う。

 

 

 

ああ、そろそろ文章を書くのがしんどくなってきたので、残りはリンクだけ載せます。

意味あるんかこれ。

 

 

 

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