考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

実話だらけのフィクションのお話

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半年間の休学がもうすぐ終わろうとしている。

進路について考え直すために休学したから、この半年間、将来の仕事について考えることが多かったんだけど、その間にいろんなバイトを経験して、仕事(バイト)観のようなものがそれまでとはずいぶん変わった。

 

 

最近なんとなく読み返したくなり、たしか2年ほど前に買った、デイル・ドーテンさんの「仕事は楽しいかね?」を再読した。

 

 

この本の出版は2001年だから、もう15年も前の本ということになる。

ジャンルとしては仕事についての自己啓発書ということになるのだろうが、ストーリー仕立てになっていて、今の仕事に不満を抱えたサラリーマンが空港の待ち時間で偶然、成功した発明家であり起業家でもある老人に話しかけられるというフィクションでページが進んでいく。

 

おもしろいのは、状況描写が多くてついつい引き込まれるストーリーや、どこにでもいそうな主人公の考え方や言動のリアルさだけではない。老人の語りかけの中にコカ・コーラやマジックテープ、リーバイスのジーンズが発明されたきっかけなど、有名な商品の誕生秘話がふんだんに盛り込まれていて知的好奇心をくすぐられる。

 

3章のタイトル「試してみることに失敗はない」に代表されるように

この本の主題は思いつくあらゆることを試してみることであり、毎日違う自分になることに挑戦していくことなのだろう。

成功をおさめた人たちは明確なビジョンや目標があったわけではなく、冒険心があったのであり、ほかの人がやったことのないことを試したのだと老人は主張する。

 

 

 

2年前に書店で初めてこの本に出合った時の自分は、仕事(バイト)が楽しくなかった。飲食のバイトできつく怒られることが常で、バイトに行くのが苦痛で、でも店長らが怖くてやめるとも言い出せないような状況だった。

そんな時にこの本を読み、おもしろいとは思ったものの、あくまで本の中の話だとしか思えず、実際の仕事には全く生かせなかった記憶がある。

 

 

休学してからはパソコン教室の講師やダウン症児のデイサービスのバイトをしているが、幸いなことに今はこれらの仕事がとても楽しい。就職しても続けたいと思えるほどで、正社員は副業禁止が一般的という今の日本の仕事観をなんとかできないものかと考えている。

 

仕事での人間関係や、授業を自分で組み立てられることなんかが今はとてもおもしろいんだけど、そんなふうに、仕事が楽しいと思っている状況で「仕事は楽しいかね?」を読むと、以前は気づかなかったことにたくさん気付くことができた。

読後の感想やら、考えやらを書いてみる。

 

 

 

成功するかどうかは基本的にやってみないとわからない。

例えば授業の内容を考えるにしても、どういう素材を使ってどんな課題を通して練習すればわかりやすいか、おもしろいと思われるかなど、試してみて、受講者の反応をみて初めてわかることばかりだ。

 

うまくいかないことを失敗と人は呼ぶのかもしれないけれど、「試す」という言葉はとても便利で、試しているという意識さえあれば、うまくいかなかったことを失敗ではなく、「この状況にこのやり方は合わない」という情報が得られたんだと、プラスにとらえることができるようになってくる。良い悪いではなく、単に相性の問題なんだと。

そうな風にいうとなんかエジソンのセリフみたいやけども。

 

パソコン教室の授業を自分で考えてそれを実際にやってみるという試行錯誤が当たり前になっている今は、この本に出てくる老人の話がすっと入ってきてくれる。

 

 

仕事だけじゃなくて、私生活やあらゆることに生かせる本だと思うから、ぜひまだ読まれていない読者の方には一読してほしいと思う。

趣味にしたって、一回試してみないと自分にとっておもしろいかどうかわからない。

 

 

 

 

最後に今回読んで特に印象に残ったセリフを引用しておく。

 

 

 「警備員と一緒に練習したのはね、アイデアを結び付け直すのは楽しいって君に教えたかったからだ。(中略)だけどその一方でぜひ君にやってみたいと思うことがある。片側に仕事のリストを、もう片側に全世界を置くことだよ」

 

日常生活で見つけたものや思いついたアイデアをすべて仕事で試せたとしたら、

どんなに楽しいだろう。

 

 

 

 

最後の最後に、セトウツミの映画の特報②が出てたので紹介。

 

www.setoutsumi.com

 

 

 

おもしろすぎないからクセになるっていう、ずるさがあるよね。