考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

沖縄日記。辺野古さんぽ

2日目、午後。


 スターバックスで少し休憩をしてから、辺野古へ向かうことにした。米軍基地が近い北谷(ちゃたん)のスターバックスは外国人が多く、ドライブスルーでも店員と客が英語で話していた。店内でも米兵らしき背の高い男性と、その彼女と見られる日に焼けた日本人女性が仲よさそうにレジ前に並んでいる。米兵が来てから70年以上がたった今の沖縄では、当たり前の風景なんだろう。


 店内でアイスラテを飲みながら、戦争の年に沖縄県知事に赴任した島田叡さんのことを調べていた。北谷町の図書館で「10万人を超す命を救った沖縄県知事・島田叡」という本を見つけて読んでいた。そこには、沖縄への米軍上陸を前に大阪府の内務部長から沖縄県知事に赴任した彼の、沖縄県民に寄り添う姿が描かれていて、その勇ましさに感動していた。

 

県知事の打診を受けたとき周囲の反対の声に対し、「俺は死にたくないから、誰か代わりに行って死んでくれ、とは言えん。」と言って沖縄に飛んだという彼は、知事として県民に命を大事にすることを繰り返し訴え、軍上陸の前に多数の県民を避難させたが、自身は戦争の最中に壕で亡くなったらしい。

 

車に乗り、ナビで辺野古への道を調べる。北谷から1時間弱。途中からは島の東側の大通りを走っていけば着くらしい。

沖縄は4月でも暑く、少し停めていただけで社内は熱気がこもっていた。エアコンをかけ、ラジオ沖縄を聞きながら道を進む。途中まで道は少し混んでいたけど、しばらくするとずいぶん田舎町の景色になっていき、車も減っていた。

 

 名護市に入る。キャンプ・シュワブの門が右手に見え、少ししたところで海の方に曲がったら、小高い場所に休憩所があった。広場の休憩所から、川を挟んで向こう側の住宅地が見渡せる。住宅地といっても、それほど家が密集しているわけでもなく、小さな畑もところどころにあるような、のどかな場所だ。休憩所の近くに平和の塔と書かれた石碑が立っている。平成7年に立てられたものらしい。50年前に米軍が計画していたという辺野古基地が、今になって”移設”という名目で、作られようとしている。


 埋め立てがされている様子を見ようと、海の近くの通りをさらに北へ進む。大通りには沖縄3区の補欠選挙のポスターが貼られていた。玉城知事とともに映る、移設反対派の候補者のポスター。その週の日曜日の選挙では、その人が勝ったらしい。民意がどれだけ明らかになっても、基地建設を、日本政府はやめようとしない。


 郵便局のすぐそばの空き地に車を泊めて、少し散歩をしてみることにした。向かいのアパートの前の広場で放課後の子どもたちが遊んでいる。

 通りを南に少し歩くと、小規模多機能と書かれた介護事業所があった。子どもの多い沖縄でも、高齢化は進んでいるんだろう。沖縄戦を経験した世代の人たちが、ここを利用しているのかもしれない。
 さらに歩いたら海辺に出ることができた。南側のキャンプシュワブの方向に、大きなクレーンや船が見えた。その周りが大きく囲われているのは、埋め立てに反対する船が入ってこれないようにするためだろうか。


帰り際、すぐ近くの小さな山を登って、上から辺野古の海を見下ろす。たしかに綺麗な海だ。「この海を汚すな、自然を破壊するな」と叫ぶ気持ちはよくわかる。
けれども、じゃあ元々汚いからって大阪湾に空港を作るのは良かったのかとか、これまでも人間のために、海は埋め立てられてきて、自然はたくさん破壊されてきたんだとも思う。ただ、この埋め立ては、その土地の人たちの気持ちを無視して、外の人間が勝手に、沖縄のためではなく日本やアメリカのために、自分たちの土地を汚している。そのことに対する反発や怒りは最もだと思う。

 

沖縄は、戦後もずっと差別を受けてきた。米軍によって住民がボリビア強制移住をさせられた時代や、憲法も適用されず、国の保護を受けずに自力で自分たちを守らないといけない時代があり、今も沖縄の住人が自由に入れない土地が、島のいたるところにある。

 

そのことを、基地の負担を引き受けない他の県の人たちはめったに意識することもなく、沖縄の人たちがどれだけ声を上げても、内地の人たちに届くものはほんの一部で、多くの日本人が沖縄に旅行に行くのに、基地問題が全国的に国政選挙の争点になることはない。


「沖縄の苦しみを、少し察してほしいとは思う」と、普段僕から聞かない限り沖縄の話をめったにしない、沖縄出身の友人が言っていたことがある。

 

地上戦で多くの人が家族を失ったこと、内地に移住しても差別に苦しんできたこと、そして近年、沖縄が基地に依存しない経済発展を進めていること。

僕もつい最近まで知らなかったことばかりだけど、多くの人に知ってほしいと思う。

 

辺野古のある名護市から、那覇へと続く329号線は、海が綺麗に見えて最高に気持ちいい。

今晩は友人のお母さんがステーキ屋に連れて行ってくれるらしい。ラジオで阪神が珍しく大量リードしているのを聞きながら、那覇に向かった。

 

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