考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

2か月前、大学4回生の僕がキリスト教の教会に初めて行った話

 

 

みなさんは、宗教って信じていますか。違う言葉で言うと、信念ってありますか。

 

僕は小学校から大学までずっと公立で、宗教と馴染みのないところだったということもあり、世界史や倫理の授業以外で宗教というものと接することがほとんどなく、特定の宗教を信仰することがないままで、22年間生きていきました。そんな宗教のど素人が初めて教会に行くようにになった経緯を少し、僕の好きな森まゆみのエッセー風に書いてみたいと思います。

 

参考文献:森まゆみ『寺暮らし』

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 6月のある日、卒論のための文献調べに嫌気がさしたので、大学のパソコン室から逃げ出して学部棟の前のベンチで休憩をすることにした。僕がいる学部の小さな学部棟の前には木に囲まれた弧状のベンチが二つ有り、快適な平日にはそこに座って昼食をとる人もいる。

 

いくら自分が卒論に追われていても、外では他の大学生が楽しそうに話しながら歩いている。数ヶ月前まで自分もそうだったということが信じられず、そのギャップに驚きさえしながら、「いったいおれは何をやってるんだろう」と、虚しい気分に浸ってぼけーっとしていた。

 

しばらく座っていると、図書館の方から見慣れないメガネの女性と背の高い体つきのいい男性が近づいてきて「こんにちはー」と声をかけてくる。

 

宗教の勧誘のようだ。今までの人生で何度か声をかけられたことがあるからわかる。以前散歩しているときに片言の日本語を話す西欧人に声をかけられたのは面食らった。

今回はちゃんとした日本語だ。二人とも優しい人柄で、どう見ても強引に教会へ連れて行かれるようには思えない。休憩がてら、その人たちとの会話を楽しむことにした。勧誘をしてくる人と楽しく雑談だけして勧誘に乗らずに別れるスキルには自信がある。

 

話していると、どうやら女性は韓国人だ。日本語がかなりうまい。背の高い男性は日本で一番有名な大学で運動科学の研究をしたあとでこっちに来ているらしい。互いの出身や家族のこと、経歴や勉強していること、彼らがいるキリスト教の教会に通う大学生のメンバーなどの話をしているうちに、かなり気を許してしまっていた。初対面でこれだけたくさんのことを話してくる彼らのオープンさには惹かれるものがある。

どうやら僕の高校の頃の友人もその教会に通っているらしい。

 

けれど、22年間無宗教を通してきた自分には宗教はちょっと怖い。たぶんこれだけ打ち解けても教会に行くことはないだろうと思いつつ、自分が心理学を勉強していることや、その原因となった子どもの頃に経験した家族での体験などを話していると、「抱えてるものが多すぎるねえ」と言って、女性の方が心理療法の本を紹介してくれた。

アメリカの精神科医の人が書いた「愛すること、生きること(邦訳)」という本だ。

 

当時別件でしんどさの中にいた自分は、癒しを求めていたのだと思う。その女性とラインを交換して別れたあと、ネットで大学図書館の蔵書を検索してみる。その本は所属学部の図書館にあるようだ。休日は学部の図書館は閉まっているので、後日借りて読んでみた。

 

すると、これがおもしろい。今まで読んだ心理療法家や精神科医の本には書かれていない人生の捉え方や、責任の所在をはっきりさせること、愛とは何か、など、はっとするようなことがたくさん書かれている。

 

たとえば、これ。

いったん人生が困難なものであると知るならば、人生はもはや困難ではない。いったん受け入れられれば、人生が困難という事実は問題ではなくなるのである。たいていの人たちは、たえず自分の問題が大きすぎると嘆いている。まるで、人生はらくであるべきだと言うように

 人生は楽であるべきだとか、楽しくないといけないっていうような価値観、ないですか? SNSなんかで友人が楽しそうにしている写真を見て羨ましく思って自分もそうありたいと思ったり、そうできない状況を嘆いたり。

 

もちろん楽しさや快適さを求めるのは本能だし何も間違っていない、むしろ正しいことなんだけど、人生はもともと楽で楽しいものだという見方をしていると、苦しい今の状況が余計に辛くなるかもしれない。逆に、困難が降りかかってくるのが当たり前で、それをいろんな方法で解決して乗り越えていくことでよりよいものにしていけるって考えた方が、幸せを感じやすいのかもしれません。

 

あ、いつの間にか全くエッセーじゃなくなってる。完全にブログだ…(笑)

 

 

そして、その本の感想をラインで女性に伝えてから3週間後の日曜日、初めて教会に行くことになりました。勧誘に乗らずに別れるスキルはどこへ行ったのやら…

 

今日はこの辺にして、続きは後日書こうと思います。

少しずつ…。

 

ちなみに紹介された本はこちら。名著です。

 

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