考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

イタリアとギリシャを旅行して気づいたこと

 

 

8月の最後の一週間、ドイツでドイツ哲学を勉強している理学部の友達と、イタリアとギリシャを旅行してきました。

理学部なのにドイツ哲学って、ちょっと不思議ですよね。

 

 

時間的にも予算的にも、そう簡単には行けないヨーロッパ旅行で経験したことを、忘れないように書いておきたいと思います。貴重な経験は本当にたくさんしたのですが、あんまり多いと読むのが嫌になると思うので、完読してもらえるように、3点だけ書きます。

 

1.ヴェネチアのおばあちゃんは大阪のおばちゃんと似ている

 旅行5日目、その日フィレンツェに行った理学部の友人と別れて、一人でヴェネチアを歩いていました。水都ヴェネチアにはどうしても行ってみたかったのですが、友人はすでに行ったことがあるとのことだったので、この日は別行動だったのです。

 

海外旅行とは言え大学生の貧乏旅行です。できるだけ出費は抑えたいので、毎食レストランで食事をとるわけにはいきません。ローマからヴェネチアまでの電車でビスケットをサービスされ、そこまでお腹もすいていなかったので、昼食はスーパーのヨーグルトで済ますことにしました。ちなみに、イタリアとギリシャの乳製品は全体的にコクがあっておいしいです。チーズだけじゃない。

 

スーパーのレジで並んでいると、ひとつ前に並んでいる、おそらくヴェネチア在住のおばあちゃんがイタリア語で話しかけてきました。

「#%&>*}$%&’」

もちろん、英語もろくに話せない僕にイタリア語がわかるわけがありません。

言葉はわからないのですが、身振りや、自分がこれから買う物をバッグから出してその多さを示す様子で、(私は買い物が多いから先に行っていいよ。)という意味だと理解できました。優しい人だと思い、お礼を言って前に並ばせてもらいました。

 

すると、そのあと5分くらいずっとイタリア語で僕に話しかけてきました。表情からなんとなく伝わってくるのですが、どうもレジの進み具合が遅いことを愚痴っているようです。最初僕は、高橋優の歌詞「きっとこの世界の共通言語は英語じゃなくて笑顔だと思う♪」に倣って笑顔で対応していたのですが、あまりにも何を言っているかわからないので、途中、「Sorry, I can't understand. I'm Japanese.」って言ったんですね。

ところが、その人は英語がわからないようで(やっぱり英語は共通言語じゃなかった)、僕が理解していないことに気づいているのかいないのか、変わらずずっとイタリア語で話しかけてきました。

 

途中でわかったんです。この人は、僕と意思疎通することを楽しんでいるんではなく、話すこと自体に快感を覚えているんだ、と。

まるで大阪のおばちゃんじゃないかと。

 

会話が持つ意味って、ほんと人それぞれなんですね(笑)

アイデンティティーの概念で有名なエリクソンが渡米してすぐにカウンセリングをしていた頃、英語がろくに話せなくてもアメリカ人のクライエントがどんどん良くなっていったというエピソードも、納得できる気がします。もちろん、よくなったのは彼の真摯な接し方があってこその話ですが。

 

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ベネチアの街並み

 

 

2.イタリア人の愛情表現はやっぱりすごい

飛行機の中でキスする家族と、仕事前にハグし合う清掃係

  行きの飛行機、乗り継ぎのドーハからイタリアに向かう便は座席が2-3-2の7列で、僕は真ん中3列の左側に座っていました。右隣の二列と前の席が、夫婦、6歳くらいの女の子、4歳くらいの男の子のイタリア人4人家族でした。白人の子供たちは金髪がとても似合っていてかわいいし、男の子は襟のある白シャツを来ていて、腕には腕時計にミサンガというおしゃれっぷり。見ているだけで幸せになるような素敵な家族です。離陸前後は隣に座っていた男の子が大音量でゲームをしていて、僕もさすがにちょっと苛立っていましたが。


 子供たちは飛行機の中でもお母さんやお父さんに膝枕をしてもらっていて、着陸時にはお母さんは前の席にいる息子(家族は何回か席替えをしていました)を持ち上げてほっぺに何度もキスをしていました。日本だと周りの目とか、マナーのこととかを考えてしまってなかなかここまではできないですよね。家でも子供にキスはしないかもしれない。僕はその家族を見て羨ましく思いました。たっぷり愛情を受けて育った子供は、自分に自信が持てて、将来他の人のことをたくさん愛せる人になるんじゃないかなって。ちなみに、お母さんの左腕には「愛」と漢字で書かれたタトゥーもありました(笑)

 

 他にも空港でキスするイタリア人は多かったし、掃除係の人が仕事前に、掃除道具を持ったまま同僚に笑顔で投げキッスをしたり、ハグをしたりするシーンも印象的でした。とにかく、大人子供関わらず、笑顔と愛情が溢れていて素敵な国でした。

 

日本での愛情表現って?

 日本でもハグやキスの文化がもっと増えればいいと僕は思うんだけど、セクハラとかの問題があって自分から広げるのはなかなか難しいですよね。そこで、カップル・夫婦以外の関係にある人が日本でも自然とできる愛情表現ってなんやろうって、考えたんです。

 愛情表現って、僕は相手を幸せな気分にするものであればいいと思っていて、たとえば細やかな気配りとか、別れ際の笑顔とかもそうじゃないかなあと思います。その二つも僕はまだまだできてなくて、大切にしたいけど、これから特に努力して磨いていきたいなあと思ったのは、「笑いをとること」でした。これなら下ネタじゃない限り絶対セクハラにはならないし、相手を笑顔にすれば自分も幸せになれる。

 当然だけど、笑いのない場所より、笑いに溢れてる空間の方が、愛情にあふれている感じがしますよね。 初対面の人とか微妙な距離感の人だと特に、笑いをとるのは結構難しいんだけど、日頃からバラエティー番組なんかを見るときにちょっと意識して勉強していきたいなあと思います。

 

 

ギリシャは財政危機でも旅行者に優しい

 最後はこれ。今回の滞在では主にローマ、ヴェネチア、アテネを回ったんだけど、一番僕が好きな都市はアテネでした。

 エーゲ海がすごくきれいで感動したのと、夜においしくて店員さんの接客がすごくいいレストランに行くことができたこと、そこに行くまでの道が落書きだらけで怖く、スリルが味わえたことが主な理由ですが、それに加えて、電車が綺麗なことや、おしゃれな町並み、物価の安さなども良かった点です。

 

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アテネの夜。壁や車にも落書きがある。 

 

 物価はイタリアに比べてずっと安く(ヨーロッパを飛び回っている友人曰く、ヨーロッパではかなり安い方だそう)、先に述べたレストランでもムール貝やサラダ、チーズの春巻きにはちみつと胡麻をかけたギリシャ料理、フランスパンとオリーブオイルのディップソース、最後にデザートにメロンやスイカ、パイン、ぶどうなどもついて一人10ユーロ(約1400円)と、かなりお得でした。

 

 また、改札がないために電車は基本的にみんな無賃で乗っています。財政危機ならそういうところからお金とれよって感じでしたが、のんびりしています。

夏休みだからか、平日の昼過ぎでもエーゲ海のビーチには体を焼いたり、泳いだりしている人がたくさんいました。

 

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エーゲ海

 

財政危機だからという理由で控える人がいるかもしれませんが、ヨーロッパでのんびりした雰囲気を味わいたければアテネはおすすめです。

 ちょっと街を外れた方では、駅の電光掲示板が適当なので、来ると思って待っていた電車が来ないこともあるくらいです。

 

 

他にも書きたいことはありますが、この辺にしておきます。

 

イタリアからギリシャに向かう船の上で、その時の状況を小説風に書いてみたものもあって、いつかこのブログに載せるかもしれません。