考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

「子どもの貧困が叫ばれまくってるけど、実際のところどうなんやろうか」と。

 

今月は更新のペースが落ちています。

 

休学している間に予定がたくさん入って、思っていたより自分の時間がとれていないです。

もちろん自分の意思で予定を入れたわけで、楽しいことや学べることが多いのですが、せっかくの休学なので、今後はもう少し一人の時間を持っていろんなことを落ち着いて考えていきなあと思っています。

 

 

 

 

 

今日は3つ予定がありました。

午前中に大学の女子バレー部の人たちと体育館でバレーをして女バレのキャプテンのスパイクの迫力に驚き、

そのあと賀茂川での教育学部の運動会に参加して5人6脚や借り物競走に和み、

最後に中京青少年活動センターで行われた、「子ども・若者の貧困 京都プラットフォーム」の会合に行くという、ハードスケジュールでした。

 

若さに感謝です(笑)

 

 

子ども・若者の貧困 京都プラットフォーム

タイトルにあるように、今日書きたいのは「子ども・若者の貧困 京都プラットフォーム」の会合で見聞きしたこと、感じたことについてです。

 

 

さすがに疲労がすごいので、日本シリーズの第一戦を見ながら休み休み書いていきます。(※この記事の前半は10月24日に書かれたものです。)

 

 

 

この会合は、「子供の貧困」の問題に関連したさまざまな活動をしている人たちが集まり、情報の共有をし、ときには意見をぶつけあいながら、根深く、さまざまな問題が複雑に絡み合ったこの問題を改善していく方法を考え、実践に役立てようとするものです。

ただし、この会合の目的や意図は明示されていなかったので、僕がそういうものだと感じた、と言った方が正確かもしれません。

 

この集まりは今回がまだ二回目ということで、この会合の活かし方もこれから考えていく、という具合でした。

 

 

「子供の貧困」の問題に関連したさまざまな活動をしている人たち、と書きましたが、具体的には、スクールソーシャルワーカーの方、母子家庭支援をしている方、若者の活動の支援(ユースサービス)をしている方、小中学生の放課後の居場所づくりをしている人、地方議員の人、参議院議員の人、僕と同じで生活困窮家庭の子供の学習支援をしている学生など本当に様々で、年齢も70代から20代まで幅広かったです。

 

 

今回のメインの議題は、「スクールソーシャルワーカー」の現場から見える子どもの貧困の現状でした。

 

スクールソーシャルワーカーをしているお二人の方が、実際の事例や統計データなどを元に、子どもの貧困の現状について語ってくださいました。

その話を、僕が大事だと思う点をピックアップしてまとめようと思います。

 

 

 

そもそも、子どもの貧困って?

 その前に…

このブログは、まとめておいて自分があとで見るためのメモとしてだけでなく、一応読者の方に読んでもらうつもりで書いてるので、

読者の方がどれくらい子どもの貧困の問題について知っているかを意識しておこうと思います。

 

「子どもの貧困」という言葉は、最近ニュースなどでも話題になっているので聞いたことある人は多いと思います。

 

概念自体はわかりやすいし、いつの時代にも、世界中どこにでも、よくありそうな話ですよね。

 

 

近年よく言われるのが、日本の子どもの6人に1人が貧困状態にあるって話。

この問題に携わっている人なら耳にたこができるほど聞いていると思います。

 

じゃあそもそも貧困状態って何かというと、家族単位で考えたときに、子どものいる全世帯(厳密には家族構成などによって分類されます)の所得(等価可処分所得)の中央値の半分よりも下のラインにいる場合をいいます。

 

※ 等価可処分所得については以下のリンクがわかりやすいです。

所得分布(6): 等価可処分所得とは

 

たとえば、仮に子どものいる世帯の年収の中央値が500万円だとすれば、250万円以下の所得の家庭で暮らしている17歳以下の子どもの割合が、子どもの貧困率、ということになります。

(簡略化して説明しているので、もし間違っていたらごめんなさい。「違う」と思った方はコメントで指摘していただけると幸いです。)

 

 ちなみに所得の中央値の半分以下を、「相対的貧困」と呼んでいて、「子どもの貧困率が上がっている」とよく言われますが、正確には「子どもの相対的貧困率」を言っているわけです。

 

この貧困率は、調査主体によって変わるようですが、厚労省のデータによれば、2012年度の子供の貧困率が16.3%(6人に1人)で、データ取得開始以来初めて、「子ども」の相対的貧困率が、大人も含めた全世代の相対的貧困率を上回ったようです。

 

貧困率の長期的動向:国民生活基礎調査を用いて - hinkonstat ページ

 

 

こういったことからも、子どもの貧困は近年問題視されてきており、特に母子家庭における貧困の問題はよくメディアでもクローズアップされています。

 

 

2013年には「子どもの貧困対策法」が制定され、

law.end-childpoverty.jp

 

そして、今月19日にも「子供の未来応援基金」の創設が決定されました。

 

www.fnn-news.com

 

 

 

 

 

 

ところで…

 

相対的貧困なら、別にいいんじゃないの?

って、上の内容を読んで思われた人もいるんじゃないでしょうか。

そもそも所得の中央値の半分以下を貧困と呼ぶのなら、貧困は理論上ほぼ0にはならない(分散がきわめて小さいなら話は別です)し、戦時中などに比べて全体が豊かになって、中央値が上がってるんだから、相対的貧困が上昇するのは仕方ないんじゃないの?と。

 

もちろん、戦時中の劣悪な環境に比べたら、今の日本の貧困の程度はずっとましかもしれません。

 

けれど、戦時中の物がなくて誰もが貧しかった時代と、経済成長後の少子化で子どもが比較的大事にされている現代では、当事者である子どもにとっての貧困がもつ意味は大きく変わってくると思います。

 

たとえば、最近の子どもは学校の和式トイレの使い方がわからずに戸惑うことがあるという話を聞きます。

家のきれいな洋式トイレを使っている子が大半で、おそらくそのほとんどが毎日お風呂に入っている。そんな小学校のクラスで、自分は家に風呂がなく、銭湯に行くお金もなくて1か月お風呂に入れないとしたら、どうでしょうか。

 

相対的貧困というのは、そういうことだと思います。

 

周りの豊かさに比べて、自分(の家)がどれだけ貧しいか。

明日生きていられるかわからないような状況を除けば、発展途上国の貧困よりも日本の貧困のほうがずっと苦しい。

そんなことを、僕の尊敬する誰かさんが言っていたような気がします。

 

 

また、所得の中央値は平成9年以降、年々下がってきている、という厚労省のデータもあります。

 

 

(以下、「子ども・若者の貧困 京都プラットフォーム」で知ったことを中心に書いていきます。)

 

 

生活保護のこと…

そういった家庭を救うために、日本には素晴らしい制度があります。

生活保護です。

 

日本で生活保護を受給している世帯の割合ってどれくらいかご存知ですか?

 

 

 

3%ぐらい?

いや、不正受給とかよく問題になってるくらいだし、5%ぐらいはいるんじゃないの?

 

 

 

正解は…

 

 

 

1.6%です。

 

 

これは2010年のデータですが、ちょうど子どもの相対的貧困率16%の10分の1。

たった1.6%しか受給していないんですよね。

 

 

この数字は、10%近くが受給しているドイツ、イギリスなどをはじめとするヨーロッパの国々に比べて圧倒的に少ないです。

 

 

生活保護世帯には一人暮らしも多いですから、子どものいる相対的貧困状態の家族の9割以上が、生活保護に頼らずに頑張っている、ということになります。

 

 

 

生活保護に頼らずにがんばるのは美徳

プラットフォームの場で言われていたことで印象に残った言葉の一つに、

 

「今の日本は、児童養護施設生活保護などの社会的サポートを受けずに頑張る人を褒める文化がある」

というものがありました。

 

苦しくても、施設に子どもを預けたり生活保護を受給せずにがんばることは、はたしていいことなのでしょうか?

仕事に追われて子どもと過ごす時間がない、あるいはストレスで子どもにきつくあたってしまう。

それでも、受給せずにがんばるほうが、自分のため、子供のためにいいのでしょうか。

 

なんのために、生活保護という制度があるのでしょうか。

 

 

数十年前まで、日本では保育所に子どもを預けるのは母親の怠慢だと考えられていました。

今は、保育所や幼稚園に子どもが行くことは当たり前で、待機児童の問題がニュースになるくらいです。

 

将来、もし日本でもヨーロッパのように生活保護受給者が増えれば、人々の考えかたも大きく変化すると思います。

 

 

その頃には、今のような「生活保護に頼らずにがんばるのがいい」という考え方は、古びた常識外れのものになっているでしょう。

 

 

 

ほかにも、母子世帯の母親の就業率が日本はほかの国に比べて非常に高いことなど、今回初めて知ったことは多いのですが、データをたくさん出しても飽きるので、この問題をどのように改善していくべきか、プラットフォームの終盤で話されていたことを少しまとめます。

 

 

 

 

  • 当事者どうしをつなぐ場づくり

 問題を抱えていて、サポートを受ける立場の人は、どうしても負い目を感じてしまいます。そうしたときに、同様の問題をかかえ、支援を受けている人とつながりがあれば、負い目も減るし、悩みを相談しあうこともできる。サポートを受ける決断に踏み込むためにも、そして互いに支え合うためにも、当事者間の交流が必要だという話がありました。

 

  • 困っていることをアピールできるシステム作り

 生活が苦しいことをアピールする場は実はとても少ないようです。

二年前に厚労省がはじめた、24時間365日無料でつながる電話相談「よりそいホットライン」には、1日約4万件の電話アクセスがあるそうです。

 

  • 困っている人を救済するレールにいかにして乗せるか

 そういったシステムがあり、支援につながる流れが存在しても、そこに当事者が入っていけないと問題は改善されません。たとえばどのような広報をすれば困っている人に届くのか、アクセスしやすいようにするにはどうすればいいか、など、考えていくことが必要です。

 

 

 

最後に

 僕がこの問題に関心を持ったのは、「子どもの貧困」(岩波新書)という阿部彩さんの本を、大学1回生のときに教職科目の授業で紹介されて読んだのがきっかけでした。

 

 貧困という問題は、ただ単にお金がないということだけではなく、経済的、時間的、精神的な余裕のなさからくる様々な問題を孕んでいます。

 もちろん、貧しくても仲良く、明るく生きる家族がたくさんいるのも事実ですが、驚く程たくさんの問題を抱えている家族(多重問題家族)が貧困世帯に多いのも事実なのかもしれません。

 

 僕の育った家族は、経済的には貧しい方ではありませんでしたが、それなりにいろんな問題をかかえた家族でした。

子どものころ家族の中で大変苦しんできたことが、大学に入ってからの自分にも大きな影響を与えていたのを感じていたので、似たような境遇にある子どもたちにはつい共感してしまいました。

 

自分自身、何か活動したいと思っていたときに、自分の住む区で、学習支援の取り組みが始まると知り、そこに参加するようになって、自分よりもよっぽど大変な境遇のなかで強く生きている子たちと関わってきました。

 

今の自分たちの関わりが、子供たちにとってプラスになるかどうかはわからないけど、

家は大変でも、この場所に来ればあたたかく受け入れてもらえるという安心感を持ってくれたらいいなあと思って活動しています。

 

 

他にも、児童福祉施設の問題など、日本には子どもにまつわるいろんな問題があります。

社会人の方などで、時間はないけれどもそういった子供たちへ支援をしたいと思っておられる方がいれば、ぜひ「Living in Peace」で検索してみてください。(宣伝)