"all for all"と書かれた民進党のポスターを皆さんは見たことがあるだろうか。
民進党の前原誠司さんの出身地である京都では、彼の顔写真に”all for all”の文字が添えられたポスターを最近よく見かける。
他の民進党議員のポスターにもこの言葉が載っているのかどうか僕は知らないので、
この記事が京都ローカルなものになってしまう可能性は否めない。が、書こう。
はてなって京都の会社やし。
そもそも選挙ポスターなんて、注目する人の方が少ないのだろうか。
僕は公務員試験の勉強をきっかけに政治に興味を持ちはじめ、街中の政治ポスターにもよく目が留まるようになった。
どの政党のポスターも、何の具体性もない無意味なポスターやなあと思っていつも見ているのだが、その無意味さが逆に滑稽でおもしろくなる。
"all for all"もまた、ラグビーの合言葉をもじっただけやんけしょーもな!と思って見ていたのだが、今日たまたま京大の図書館で見かけた本の中に同じことばが出てきて、その意味にうなったのでちょっと紹介しよう。
イラストが異様に多い政治の本
「18歳からの格差論」という本をご存じだろうか。
僕の通う京都大学のメインの図書館には少し前に、入庫したての本を並べる本棚ができた。
だいたい一か月以内に入庫した本が入庫した日別に分かれてずらりと並んでいる。
お目当ての本を探す前に、そのコーナーにおもしろそうな本がないか、ふと立ち止まって覗いていく人は多い。
僕もそのうちの一人だ。
社会保障や格差問題には以前から関心があったので、今日たまたま並んでいた「18歳からの格差論」を手に取って開いてみる。今年の6月に出た本らしい。
18歳からのってことは一応大学生以上向け、もしくは選挙権持った年齢以上向け、ということなんだろうが、それにしてはイラストが多いし、それに比べてページごとの文字数が少ない。
「10歳からの~」でもいいんじゃね?などと思いつつ、目次を見る。
一章の一節目のタイトル「格差を是正したいですか?」に惹きつけられて、じっくり読むことにした。読んでみると、ああこれは18歳からやな、と思うような内容もたくさんあった。
目次
↓
普遍的な社会保障が必要な理由
この本の筆者は慶応大学の経済学部教授で、専門は財政社会学らしい。(そんな名前の学問分野があることを僕はこの本を読むまで知らなかった)
本で書かれている内容を僕なりに4行で無理やり要約してみると、
1,自分と異なる立場の人のために税金を払うことに寛容でない人が今の日本には多く、
2,一部のお年よりが子育て世代への保障に反対したり、若者がお年寄りの年金を減らすべきだと考えるような世代間対立もある。
3.経済の悪化に伴う収入減により中間層の税負担感が高まり、生活保護などの低所得層対象の給付への視線も厳しくなっていて、増税への反対意見は強い。
4,そういった状況のなかで税による格差是正を進めるためには、中間層や高所得者にも利益が及ぶ社会保障を作るべきだ。そうすれば税の恩恵を受ける経済的弱者への嫉妬は減り、社会の分断は和らぐだろう。
というような内容だ。
(嘘だと思ったら是非読んで確かめてほしい。)
そして、4の話をするときに”all for all"という言葉を使っていたわけだが、もしやと思ってネットで筆者の井出さんを調べたら、やはり民進党と関係があった。
どうやら、今の前原さんのブレーンを務めているらしい。
受益者を増やす社会保障について、皆さんはどう感じるだろうか。
たとえば北欧では大学までの学費が無料だったり、失業保険や老後の年金、子育て給付など、あらゆる世代への社会保障が充実していて、その分税金は高いが国民の満足度は高いと言われている。
それに比べて、いや、OECDのほとんどの国と比べて日本は、税金が圧倒的に安く、社会保障額も少ない国である。
僕は年金を受給できていない70代の女性と以前から仲良くしていることもあり、上記のような普遍的な社会保障が日本にも必要やなあと思っていた。なので井出さんの意見には大いに賛成している。
寄付やNPOだけでは格差はなかなか縮まらないし、受益者への嫉妬も消えないと思うのです。
とはいえ、世論の多くが増税延期に賛成してる今の日本じゃ実現は難しいんやろうなあ。
社会保障についての問題意識を持った人間が、社会にどんな風に働きかければいいのかよくわからず、とりあえずブログでも書こうと思った次第です。
「18歳からの格差論」の内容と似たようなことが書かれてる井手さんの記事を見つけたので、それをシェアして今日は終わりにしよう。