書きながら考えたこと。

奈良で暮らす20代の男の、とりとめのない日々の記録です。

奈良市の社会福祉法人がやっていることの一部を、働いて2年ちょっとの職員の目線で書いてみる。

 

久しぶりに長いタイトルになった。

 

「建築」の分野への関心と普段の仕事のことを活字で学んで整理したいという思いがあって、友達に紹介された「福祉住環境コーディネーター」という資格の勉強をいま僕はしている。

その試験が2日後に迫っていて、今ちょっと緊張感もあるし、プレッシャーを感じているのだけど、冷静に考えたら勉強したいから資格をとることにしたのであって、合格するために勉強をしてるわけではないので、現実逃避としてではなく、むしろクールダウンするためにこのブログを書いてみる。

 

今月は希望休を前半にまとめて使ったから、今日は久しぶりの休日だ。

 

僕の職場ではいまおもしろいことがたくさん起きていて、働くことを通して新しい経験をたくさんできているありがたい状況なのでそれについて少し書き残したいと思っていた。

 

これを読まれた方は「福祉職」というものにどんなイメージを持っているだろうか。

低賃金で重労働だとか、人と関わるのに疲れてバーンアウトしそうとか、施設に入ってる高齢者の下の世話を毎日繰り返しする仕事だとか、この仕事をしていない人にはこの仕事へのネガティブなイメージはいろいろあると思っていて、それはあながち間違ってはいないとも思う。

 

実際足りていない人手を増やすためにも福祉職全体の賃金はもっと上げるべきだと思っているし、体力的に大変と思うことは就職して2年たった今でもたまにあるし、人から受ける刺激に過敏な僕は、これまで何度も人と関わるのがしんどくなって休みの日は山に逃げたりしてきた(就職してから登山が趣味になった)。

下の世話も日々当たり前にやっている。(ただ、トイレ介助は最初はたしかに抵抗もあったのだけど、慣れると本当になんとも思わないで当たり前にできるようになる。たぶん多くの人がそうだと思う。)

 

けれど一方で、たぶんいろんな人があまり想像もしないようなおもしろい要素が福祉の仕事にはあるよっていうのを、自分の職場を例に書いてみたい。

 

どっちみち利用者の個人情報などは出さないし、悪いことを書くつもりじゃないから会社名を出しても構わないと思うのだけど(悪いことでも、会社や社会がよくなるのを祈って告発するのであれば、それはそれでいいことだと僕は思っている。)個人のブログで会社名を出すのが僕はなんとなく恥ずかしいから、今回は伏せておきます。

 

福祉×テクノロジー

welfare technologyという言葉をご存知だろうか。日本では福祉テクノロジーなどと呼ばれるのだけど、スウェーデンに拠点のあるNordic Welfare Centerの定義によると、障害のある人や高齢の人の安全面、活動、社会参加や自立の維持・向上のために、必要としている人に用いられる技術ということになる。

 

Welfare technology is all technology which in one way or another improves the lives of those who need it. The technology is used to maintain or increase security, activity, participation or independence for people with a disability or the elderly. 

Welfare policy | NVC

 

僕の働く会社は工学部の大学院を出た人がいて、その人を中心にIOTと呼ばれる「物事をインターネットのようにつなげて価値を創造する技術」の福祉現場への応用や、レーザーカッターや3Dプリンターなどを使ってデータから立体物を製作し(デジタル・ファブリケーションと呼ばれる)、障害のある人の自助具(身体機能の低下などによる動作の困難を補うための道具や装置)やアート作品の一部を作成して利用者のものづくりを簡易化するようなことにも取り組んでいる。

 

障害のある方と一緒にその人の自助具を作るような取り組みもしていて、おもしろいのだけど、僕はそこにはあまり関わっていない。

今回紹介するのは自社開発でもなんでもないけれど、僕の職場でこれから使おうとしたり、ほかの事業所でもすでに使用されていたりして広まっていきそうな道具の紹介。

めっちゃ新しいわけでもなく、知ってる人は普通に知っていると思うけれど、たぶん福祉現場以外の人はまだまだ知らないと思うので、こんな感じのものが介護の現場では広まりつつありますよ~っていう感じで紹介します。

これから家族の介護をするかもしれないって人にとっても、知っておいて損はない情報だと思う。

 

DFree

dfree.biz

 

超音波で膀胱のふくらみ具合を測定し、尿が出るタイミングを教えてくれる装置。

スマホタブレットにダウンロードしたアプリに教えてくれる。

高齢者や脳性まひの人など、尿意を感じなくなってきてトイレの失敗が多い人に有効な道具。トリプル・ダブリュー・ジャパンという会社が出しています。

開発者が自身のお漏らしをきっかけに生み出したというのもおもしろい。

 

soar-world.com

 

数万円することもあり、医療機関や大規模な法人を中心に取り入れられてきているみたいです。

法人使用の場合、無料のお試し期間もあって、僕の職場でこれから試してみようとしています。自分でも試してみたいアイテムです。

 

 

MESH

www.youtube.com

 

SONYの開発した道具。

7つの装置があり、入力センサーと出力装置(LED)に分かれる。

一番右のGPIOは応用編で、別の機器に接続して出力と入力両方使えるよう。

 

LED以外は、ボタンを押す操作や、明るさや温度・湿度、赤外線などに反応するセンサーになっていて、アプリ上で設定した条件に反応してLEDあるいはタブレットなどの出力装置に信号を送ってくれる。

 

プログラミングの技術がなくても、アプリで簡単な設定をするだけで使える便利な道具だ。 

たとえばボタンを押すとLEDが光るとか、コップに「動き」のセンサーを取り付けてアプリ上で設定をすれば、コップを持って飲もうと手に取ったらタブレットから音声で「飲んだらだめ」と教えてくれるような仕掛けを作れる。設定を変更すれば、2回押したら緑に光るとか、録音した声で知らせてくれるなど、設定の自由度は高い。

 

ほかにも例えば湿度や温度に反応するセンサーを使って、室内が一定の条件になれば教えてくれるようにしたり、人感センサーを使えば誰か人や動物などが通ったらタブレットに伝わって(通ったことが)記録されるするようにしたりすることもできる。

 

こうした道具は使い方はいくらでも考えられそうだが、使う側と対象者が異なると監視につながり、人権の問題が生じてくるので慎重に考えないといけない。けれど当事者が自分で使い方を考えることができれば、これまで日々生活する上で必要だった労力が減って生活の質の向上につながったり、工夫次第でヘルパーの介助負担の軽減にもつながると思っている。

 

個人的には、この道具の応用を考えることをきっかけに、利用者、職員それぞれの困りごとやしんどさを互いに共有できて理解しあえたらそれだけでも価値があるのかなと思っている。

 

 

アート×地域のつながり

僕の法人では、近くのスーパーや病院、保育園、居酒屋、パン屋さんなどに、障害のある人の描いた絵を期間限定で飾ってもらう企画を行っている。

倉庫に並んでいる過去に描かれた作品のうち、若手スタッフ数人が90作品ほど選んで職場のギャラリーに展示し、展示先の店の店長や病院の院長らが好みの作品を選びに来て、自分の店や病院などに数週間展示する。

 

お客さんや患者さん、園児やその親など、そこで働く人だけでなくその場を訪れる人にも絵を見てもらえるから、それを通して何か会話が生まれたり、障害のある人の作品を知ってもらう機会になるかもしれない。「お金につながるわけじゃないけれど地域の人たちや障害のあるアーティストたちをちょっとハッピーにできたらいいよね」というような、「社会福祉法人」らしい取り組みだ。

 

この取り組みは数年前からプライベート美術館という名前の企画で奈良町の方で行われていたもので、元々は、「個人店や個人宅などの(半分)プライベートな空間を一時的に美術館にして開放してみませんか?」といったコンセプトで行われていて、「住み開き」に似た意味合いもあったようだ。今回のプロジェクトは職場のすぐ近くの地域で、すでに開かれている公共の場などで主に展示している。

 

働く人間としては、例えば休憩中に弁当を買いに行った店で知っている利用者さんの絵があると嬉しくなるし、病院にいったときに、展示した絵をじっくり見てくれている人がいるのを見ると、「こういう取り組みには小さいかもしれないけど価値があるんだろうなあ」と思える。

 

日々の現場の仕事をしながらこういうプロジェクトに携わるのは忙しくて大変でもあるけれど、(僕は「無理は続かないから」と開き直って最小限の協力しかしていないのだけれど)見える世界も広がるし、刺激的で楽しいのもまた事実だ。

 

後半の取り組みはうちの職場ならではだと思うけど、福祉をやっている事業所ってそれぞれ特色があり、ユニークなこと、新しいこと、おもしろいことに取り組んでいるところがほとんどなんじゃないだろうか。

 

利用者のニーズや時代に合わせて変わっていかないといけないから、そうならざるを得ないのかもしれない。

福祉の現場で働いているとそういった新しいことを知って現場に取り入れていく刺激と、慣れ親しんだ利用者と日々関わる温かみの両方が味わえる。

もちろんこの仕事やその職場がその人に合っているかどうか、といった相性が重要だけれど、福祉の仕事はしんどいだけじゃなく、精神的に満たされる部分も多々あると思う。日々さまざまなことが起きるし、ガイドで利用者と出かけたりすることも多く、いろんなことを経験していくうちに関係が深まっていくから、スタッフ・利用者とその親御さんも含めて大家族のようだと感じることもある。

 

またこれも時代に合わせて、働き方改革も僕の職場では少しずつ進んできていて、スタッフを守る意識も高まっているんじゃないかと思う。

 

まとめ。

売り手市場のいまなんであえて福祉?なんて周りから言われることもあるかもしれないけど、転職の選択肢として考えてみるのは悪くない職種なんじゃないかと思っています。

いろんなおもしろいことをやっている事業所が国内にたくさんあるし、そこで働く人との相性はすごく大事だと思うから、ぜひ実際に足を運んで見学してほしいです。

会社内に外の人に開かれたカフェがあるところはそこに行けば雰囲気をちょっと知れるだろうし、祭りなどのイベントをやっているところも多いのでそれに参加するのもいいかもしれません。

 

僕の職場は課題もまだまだあるし、合わなくてやめていく人はいて、自分もずっといるかはわからないけれど、人のために何かをするおもしろさとか、助け合うことのありがたみとか温かさを教えてもらっているなあと思うので、この仕事の良い面を書いてみました。