書きながら考えたこと。

奈良で暮らす20代の男の、とりとめのない日々の記録です。

奈良の大文字山

4日前に登った山に今日も登っていた。

お盆に大文字焼きが行われる高円山の登山口へは、JR京終駅からほぼまっすぐ東の方角へ進めば早足で20分強で着く。

 

京終駅に自転車を止めて徒歩で向かう。登山口すぐのコンビニに自転車を止めてもいいのだけれど、ゆるく長い登り坂を自転車で登るのはしんどそうだから、今後もきっと僕はウォーミングアップのつもりで京終駅から歩くだろう。

 

大の文字を目指して登り口まで歩く途中にふと、大学時代にサークルの先輩たちと無人島で一泊したことを思い出した。島の名前は記憶にない。瀬戸内海の島だった。

人は住んでいないけれど、役所に許可をとれば釣りやキャンプなどに利用できる島だった。

おもしろいことが好きで自由な先輩たちは、後輩の僕らを連れているにもかかわらず「忘れた」と言ってテントも持ってこなかった。荷物を減らしたかっただけだろう、わざとに違いない。事前に予約していた水上タクシーをチャーターして、僕らは瀬戸内海の島に踏み入った。翌年一緒に富士山に登ったインド人の友達も一緒だった。

周囲が1キロもないくらいのその小さな島は、ひょうたんを海に沈めたような形で、2つの山が両端にあり、真ん中が浅い平地になっていた。平地の部分で夜バーベキューをし、そこにブルーシートを敷いて寝る準備をしていたらだんだん水面が近づいてきて、夜になると沈むんじゃないかと心配になって僕らは別の場所へ移動した。夜は風邪が強くてあまり眠れなかったけど、星が綺麗だった。朝になって日が登ってからはやたらと熱くて、まともな日よけもなかったから、海で泳いで体を冷やしたり、ぬるくなったカイピーリャやモヒートなどを飲んで気分をごまかしていた。

島の周囲を泳いだり、岩肌をつたったりして一周している友達もいた。他に釣り人くらいしか人がいないその島は、最高に自由だった。

 

山に登るなら、低山でもいいから、人の少ない、整備されていない山の方が面白いと思う。

数年前、八戸に住んでいる友人と、雪山をスノーシューをはいて登ったことがある。ガードレールは埋もれ、場所に寄っては樹頭まで雪が積もっていて、「道」を気にせずにどこを歩いても良かった。立ち入り禁止の場所もなく、僕らは歳を忘れて、はしゃいで転げまわった。

 

京都にいた大学時代に山登りをするようになった僕にとって、大文字山といえば京都の大文字山だ。僕のいた大学の学生は本当によくこの山に登っていた。近くに娯楽がないわけでもないのに、お金がかからずに気軽に人を誘えるからか、サークルの新歓にも、デートにも、卒論の息抜きにもトレーニングにも、この山は使われていた。傾斜がややきつくハードな場所もなくはなかったけれど、整備されていて、夜でも比較的安全に登れる山だった。友人は、この山で打ち上げ花火をして山伏に追いかけられた話をよくネタにしていた。ほんまかいな。

 

調べたら、大文字の送り火は、全国10箇所以上で行われているらしい。2017年からLEDで大文字焼きをするようになったところもあるみたいだ。

 

奈良の大文字焼きが行われる高円山は、京都の大文字山と比べて登山者が少なく、道もあまり整備されていない。

コンビニの近くの登山口を入るとすぐに道が2つに分かれるのだけれど、「大」の文字の右側のはらいの先端に続く登山道は、倒木だらけで序盤から道がふさがれていてSASUKEに出れるような人じゃないと通れないようになっていた。

 

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4日前に出会った親子連れ、たしかそのルートから来たって言ってたけどどうやったんだろう。

 

 

 

仕方なく前回と同じ左側のはらいに繋がるコースで登る。

今日も誰ともすれ違うことなく、静かな森を進んで大の字のある場所までたどり着く。

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この奥の道も歩いたけど、山頂まで誰ひとりとしてすれ違わなかった。

平日はそんなもんなんだろうか。

12月だけど今年はまだそんなに寒くもないし、紅葉も綺麗なのにもったいないと思う。

でも、仕事に疲れて一人になりたい気分のときにには最高だ。

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今年はあまり登山をしてこなかったけれど、12月になってようやく登山のモチベーションが出てきた。

 

僕は人と関わることに疲れたら一人で山に登る。

山を歩いて、木々の間を歩きながら気持ちを整理する。

しばらくして人がいないことに寂しくなって、人が恋しくなってきたら、また元気になって、人と過ごす日常に戻ることができる。

 

ひとりになれる山に、気軽に行くことができる奈良は、やっぱり良い。