考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

なんでもないこと。

空を表す言葉。

光のモビールとも呼ばれる窓際に吊るす装飾品、ヒンメリはフィンランドのもので、"himmeli"はフィンランド語。だけど「空」を表す"himmel"はデンマークノルウェーの言葉だ。フィンランド語で「空」は”taivas”というらしい。とってもフィンランド語らしい響きの言葉。

 

ちなみにスポーツメーカーのhummel(ヒュンメル)はデンマークの会社だけど、"hummel"はドイツ語でマルハナバチの意味。

 

 

 

読んだつもりの本。

商店街の南のほうの、池の近くの小さな本屋さんで、村上春樹の本を久しぶりに読んだ。ねじまき鳥クロニクル。もちろんタイトルは知っていたし、読んだこともあると思っていたけれど、ページを少しめくってみて、まだ読んでいなかったことに気づいた。

村上春樹の小説はたいてい、よく知らない音楽の名前が当たり前のように出てきて、起こりえないような小さな出来事がどこにでもいるような主人公に起きて、あっという間に物語に引き込まれる。

 

夜、駅で彼女を見送ったあと、駅の近くの書店でも同じ本を見つけてまた立ち読みをした。知っているけれど読んでいない小説は、生きているのは知っているけれど、もう人生で会うことのない知人に似ていると思った。どこからどこまでが自分にとっての存在なんだろう。

 

生きていても会わない人。知っていても読まない本。

死んでいて会えない人。存在しない本。

 

3年前まで暮らしていた京都の左京区の白川疎水沿いのアパートが、もうずいぶん昔のような、薄れた記憶になっている。出窓に本棚を置いていたのも、角部屋で窓が2つあるせいで冬が寒かったのも覚えている。だけど窓際から見えた疎水の道に、桜がどれだけ並んでいたのか、もう記憶があいまいになってしまっている。

 

自分が経験した過去はかろうじて存在していたとして、自分が生きていなかった40年前の京都は、僕の中に存在しているんだろうか。知ったときに、初めて存在するものばかり。