今週のはてなブログのお題「ありがたやありがたや」って、なんかおもしろいな。
ありがたいことに、今日仕事終わりに大学の後輩が奈良に遊びに来てくれて、若草山に登って夜景を見たり、ベトナム料理食べながら話したりしていたのだけど、後輩との話でおもしろかったことについて、ちょっと書き残してみる。
後輩は、僕からみたらとても活発でフレンドリーで人当たりのよい、いわゆる「明るいタイプ」の人なのだけど、実はいろいろ抱えていて自分自身も精神病気質の遺伝子を持っていると感じていて、家族が精神病になったりしている僕に、前からシンパシーを感じてくれていたらしい。
それでも彼が人前に立つようなことをよくしているのは、「自分に合ったことばかりやるのはおもしろくない。自分らしくないことをやってみたい気持ちがあるから。だけどそれは、安全基地があるからできることだ」と話していた。まだ若いのに自分のことをよくわかっていてすごい。笑
そうそう、この感覚、すごい大事だなって思っていて、自分も大事にしていることのひとつだったから、ちょっとそのことについて今日は書いてみようと思う。
僕は自分のことを、基本臆病な性格だと自認している。たぶん後輩よりよっぽど臆病だ。
僕は家が過酷な環境だったから実家に引きこもったりすることはできなかったのだけど、中学のときは、やんちゃで殴り合いの喧嘩が耐えないクラスの人たちにびびって勉強に逃げていた。言ってしまえば勉強に引きこもっていた。そのおかげで京大までいけたといっても過言ではないと思う。
物理的な安全基地
海外への憧れはずっとあったけど、自分ひとりで海外旅行なんて絶対できないだろうと思って国際系のサークルに入って、サークル旅行で初めて海外に行った。
留学をするのも相当な勇気が行ったし、今では一人で海外に行くこともできるようになったけれど、だいたい行ったことのある国の隣の国に行くような感じで、「行った事があって、ある程度安心できる場所」を少しずつ増やしていくようなイメージを持っている。
臆病だからこそ、普段から少しずつ、可能な範囲で、できることや行ったことのある場所を増やしていかないといけないという感覚がある。
狭い場所でずっといたら、もっともっと臆病になってしまうから、少しずつ地図を広げていく感覚。好奇心は強いほうで、好奇心があるから外に出たいのだけど、一方では自分の臆病を克服したい感覚で、中学のときから自転車で行ったことのない場所を訪れて、大学生になってからは国内の多くの場所を旅行して、今なら、国内ならどこに行っても(人の多い東京や名古屋や大阪は苦手だけど)、なんとか生きていけるんじゃないかと思っている。
それも僕が、「関西」という安全基地を持っているからだと思う。大阪育ちで、大学時代は京都で過ごし、今は奈良で働き、暮らしていて、親は神戸にいる。
滋賀にいる友人のところに何度も遊びに行ったし、和歌山も免許合宿で2週間いたし高野山で2回泊ったり、熊野古道を歩いたりもしたから、ある程度の地理はわかる。
そこにいれば安心していられる場所があるから、そこで蓄えたエネルギーで、旅行に行く。沖縄や八戸、神奈川、岐阜なんかにはもう数回行っているから、ちょっとずつ慣れてくる。そうすると、そういった場所で暮らすイメージもできてくる。
同じような感覚で、デンマークのコペンハーゲンにももう何度も足を運んでいるからある程度安心できてくる。そんな風に、安心できる世界が広がると、世界そのものが、自分にとって、より安心できるものに思えてくる。
人と仕事の安全基地
人間関係や仕事についても同じようなことが言える。
この人となら安心していられる、という人を、少しずつ増やしていく。
本気で安心できる人がひとりでもいれば、ちょっと苦手かな、と思うような人とも関わろうと覆える。そうすれば、ちょっと苦手かなと思う人とも、共通点を見つけたり、かわいいと思う部分が見えてきたりして、そういう人とも安心していられるようになる。
コミュニティとか、仕事も同じ。
このコミュニティなら大丈夫、この仕事なら自分はできる、能力を発揮できる。食べていくことができる。
そんなものがひとつあれば、ほかのにも挑戦しようと思う。
そんな風にして、自分がいられるコミュニティや、働ける場所、職種ができてくると、少しずつ自由になっていく。
そうやってちょっとずつちょっとずつ、世界を広げてきた。
元気なときには、あえて苦手なジャンルに飛び込んでみる。最初はしんどいかもしれないけど、慣れてくるとそこから安全基地を広げていけることもある。
どうしても駄目だったら、元の安全基地に戻る。
そんなことを、これまでの人生でずっとやってきた気がするし、これからもやっていくんだろうと思う。