考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

しんどい経験を「書く」ことに関する対話

友達に貸してもらった「四半世紀航海」というエッセイ集を初めて読んだときは本当に衝撃を受けた。母から受けた虐待や母の自死、それが自分の心身に及ぼし続けている影響を、こんなにも丁寧に言語化して、しかも文学的な作品に仕上げることができる人がいるなんて思いもしなかったし、それをしたのが今もPTSDに苦しむ20代半ばの女の子だっていうからもっとびっくりした。

何本も何本も賞レースにエッセイを投稿し、自分で本を作り、本屋で売ることまでできる行動力やエネルギーもすごい。重すぎる過去の家庭内での経験にもかかわらず、ぶっ飛び方のベクトルが明るい。

 

「四半世紀航海」を貸してくれた友人はカナエさんのファンだったが、僕もすぐにファンになった。自分よりはるかにしんどい経験をしてきたのに前を向いて生きている人がいるのは希望だ。自分の悩みが小さく見える。自死遺族の語りをラジオでするようになって、こんな経験を繰り返ししてきた。「こんな辛い思いしてるの自分だけだ」なんて思っていた過去の自分の「辛い思い」なんて、大したことなかったんだなって思えるような経験をしている人が世の中にはたくさんいて、そんな人たちと直接話すことができる。精神科の症状だって、語り方次第で武器になる。悲観するのが普通だからって、必ずしも悲観しなくたっていい。

 

 

29歳になってやっと(それもほとんど友人の力に頼って)初めて経験しているのだけど、何かを自分たちで始めるというのは、とてつもなくワクワクすることだった。インターネットラジオというのが良かったのかもしれない。憧れた人と、こんなに早く話せる日が来るなんて。

 

 

一緒にラジオやってる友人もすごい経験をしてるから、3人で話していたら、たぶん普通はこっちが一般的だろうって思う自分の感覚が少数派になるようなこともあって、その状況すらも刺激的で、常識をひっくり返すとか、タブーをぶち壊すとか、そんなことを、このラジオの小さな小さな世界のなかだけだけど、実現できた気がする。

 

カナエさんの独自の「書くこと」に関する心の動きや、世界の捉え方がとてもおもしろいので、良かったら聞いてみてください。僕がぶっとんでると思うんだから、結構ぶっとんでるんじゃないかな。

 

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