朝ベランダで外を眺めていたら、
近くの道端に白い短い棒が散らかっていた。
その周りには、白い紙と、小さな赤い台形の紙の箱。
散らかっているのは、マックポテト。
昨日の夜、誰かが車から捨てたのか、
癇癪を起こした子供が窓から放り投げたのかもしれない。
時々通る人が散乱するマックポテトを見ている。
写真を撮るおじいさん、どんな気持ちで撮ってるんだろう。
犬の散歩をする夫婦。なぜか犬は、ポテトに近寄らない。もうとっくに冷めてしまって、匂いもしなくなっているのか。
友達の家に泊まった翌朝の、オーデンセの街を思い出す。
たぶん、前夜にフェスのイベントがあったその日の朝、
オーデンセの駅前は酒臭く汚れていた。
道端に10クローネ札が落ちていた。
当時のレートで¥1600。
駅まで送ってくれようとしていた友人は、
それを見つけて、拾い上げて嬉しそうにポケットにしまった。
あのときドイツの音大を目指していた彼は、今何をしているだろうか。
ゴミを出しにいくついでに、気になってマックポテトを見に行った。
マックポテトだと思っていたそれは、全部たばこの吸い殻だった。ポテトの箱を、ゴミ箱の代わりに使っていたのか。
ポテトよりも白い、たばこの吸い殻。
雲よりも、雲の隙間の朝の空よりも白い、小さな小さなゴミの集まり。