考え事と生活の記録

とりとめのない日々の記録です。

城崎へ行く

たまっていた疲れが取れて体調が回復したので、当初の予定通り城崎へ向かった。

 

志賀直哉が怪我のあとに療養していたという古くからある温泉地や、カニで有名な城崎町は、兵庫県の最北部の豊岡市日本海の近くにある。

とても有名な温泉地ではあるけれど、大阪や奈良、神戸に住む人たちにとっては少し距離が遠く、アクセスの良い有馬温泉はたまに行くけれど、城崎にはまだ行ったことがない、という人もわりといるんじゃないかと思う。

 

僕もそのうちの一人だった。今回、仲の良い友人が城崎へ引越したので、遊びに行ってきた。昨日の朝、御所の湯に入ってぼーっとしていたら文章を書きたくなったので、今回の城崎のことを少し、書いてみようと思う。

 

志賀直哉や、「本と温泉」のレーベルでカニの甲羅のようなカバーの本を執筆した湊かなえさんになりきったような気分で書いているけれど、僕が書くのは文豪や人気小説家の小説ではなくて、ただの奈良に住む一般人のブログだ。

 

books-onsen.com

 

 

 

 

奈良から城崎へ行くには、一度京都へ出てからJRで福知山方面に向かう。

こうのとり何号とか、きのさき何号とかいう特急を使えば2時間半ほどで京都から城崎へ行くことができるようなのだけど、福祉職で安月給だけど旅が好きな僕らは、交通費を節約するためにゆっくり鈍行で向かった。

 

京都駅の北のほう、32番乗り場から乗車し、途中、園部駅福知山駅で乗り換える。近鉄奈良駅から城崎温泉駅まで乗り換えも含めて全部で4時間半ほどだった。

 

ちなみに京都駅に30も乗り場がないのに嵐山から舞鶴、城崎、天橋立などにも繋がる嵯峨野線の電車のホームが31~33番乗り場なのは、「山(さん)陰」にかけた言葉遊びらしい。京都で5年くらい住んでいたのに知らなかった。

 

 

城崎温泉駅はICカードをタッチできる改札がなく、係員の人に処理をしてもらってから下車。

 

改札を出たところがロータリーになっていて、右前方には湯飲みが置いてある「飲める温泉」のスポットも。その方向、駅を出て右側に歩いていくと、柳がきれいな大谿川(おおたにがわ)に出る。そこを左に折れて川沿いを歩いていくと、一の湯などの七つの外湯がある温泉地が現れる。

 

着いたときにはもう暗くなっていて、友人の彼女に車で迎えに来てもらう。

お店に入って、夕食にぶりや刺身など、おいしい魚料理を城崎の日本酒とともにいただいてから散策。

 

柳が垂れる川に弓形の橋が架かっていて、両サイドに昔ながらの趣のある木造建築が建ち並ぶ風景は、これぞ日本の温泉街といった感じがする。浴衣に下駄で歩く宿泊客たちが、趣を出すのに一役買っていた。

 

卓球やピンボール、射的のあるレトロなゲームセンターに入って、高校生に戻ったような気分で盛り上がった。

 

 

 

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夜は友人宅でゆっくりすることに。いくつかの温泉が朝7時から開いていて朝風呂もできるから、遅くに城崎に着いて夕食のお酒で酔ったら、入浴を朝に回すこともできるわけだ。

 

美味しそうなおつまみがたくさんあるお酒関係のお土産やさんで買った、ウイスキーのようなワインのような日本酒(?)をいただき、嬉しいことにサプライズケーキやプレゼントで誕生日のお祝いをしてもらって、翌朝、今月頭にリニューアルオープンしたばかりの御所の湯へ。全面露天風呂になっていて、小さな滝の連なりに水が流れる様子を見ながら入浴できる。

 

少し雨が降っていたけれど、天気が変わりやすいのも城崎の特徴みたいで、湯上りに休憩処で雨宿りをしてから出発する。

 

昼は車で出石へ行って昼にお蕎麦を食べて、戻ってきて友人の働くお店でゆっくりする。店から柳のある大谿川を見ていて、どこかに似ている気がするなと思ったら、京都の高瀬川だった。

 

ゆっくりしていたら、帰りの時間がもうすぐなことに気づいて、慌てて準備をして駅へ向かう。

友人たちに会いに、これからも時々来るだろうから、少しずつ他の温泉や、まだ食べていないおいしいものをいただこう。

 

 

 

良い場所に、良い縁ができた。

「城崎へ帰る」の著者のお母さんのように、仕事を頑張ったあとでここに来て、ゆっくりできたら最高に贅沢だと思う。

 

そのためにも、普段は少し節制しながら、仕事や日常生活で、良いものを作っていこう。

小説や文章だけじゃない。仕事で利用者さんと過ごす何気ない日々、普段作る美味しい料理、奈良に遊びに来てくれた友達を案内する時間、職場でこれから作る小冊子。友人とのpodcastも、「どうでも良い、意味のない話」がコンセプトだけど、どうせなら面白くしていきたい。

 

そんなことを思ってカーテンを開けたら、外は明るくなっていた。

 

寒い朝だ。奈良にも冬が来た。