空爆の日の国交樹立
イスラエルとUAEの国交正常化という、ぞっとするようなニュースを今朝、宿直明けの帰宅途中にスマホでニュースを見ていたときに知った。
国交正常化と聞いたら普通の人はポジティブな受け止め方をするのかもしれないけれど、イスラエルがこれまでパレスチナにしてきたこと、狭い地域に追いやられ、国境を封鎖されて空爆から逃げることもできないガザの人たちの今も続く悲惨な状況を思うと、アラブ国家に裏切られた形のパレスチナの人たちが不憫でならない。
イスラエル人のパレスチナ地域への入植や空爆、水源の略奪などの歴史は、「ガザ地区を知ろう パレスチナ子どものキャンペーン」というサイトにとてもわかりやすく書かれているので、知らない人は読んでみてほしい。最後にリンクを張ります。
日本人の知らないガザの現状
どれだけ悲惨であろうと、遠い世界の情報はなかなかマスコミには報道されない。僕はたまたま去年図書館で、アラブ文学者の岡真理さんがガザの歴史や現状を書いた「ガザに地下鉄が走る日」という本と出合って、その内容に衝撃を受けながらガザやパレスチナのことを学んだ。
そのあと大学院で研究をしている友人が見つけて教えてくれた、母校の大学で行われた彼女の対談イベントにも参加した。越前屋俵太さんが、京大の教授でもある岡先生に質問しながらパレスチナ問題について掘り下げていくイベントで、重い内容なはずなのに、広い会場の客席は埋まっていた。
何度も現地に足を運んでガザの人たちとも連絡を取り続けている岡先生は、イスラエルの入植の歴史やガザの現状などについてとてもわかりやすく伝えてくれた。その話のなかで特に印象的だったのが、国際社会を敵に回さないためのイスラエルの情報戦略だった。
たとえばガザに住むパレスチナ人の女の子がイスラエル兵に射殺されたときに、パレスチナ人は当然声をあげて批判する。「何も悪いことをしていない幼い命がどうして奪われないといけないのか」と。そのことを書いたパレスチナ側のニュース記事に対して、イスラエル側は「少女が武器を持っていて、正当防衛だった」とコメントし、武器を持った少女の写真を捏造してネット上に上げる。そうすれば、現地にいて事実を知っている人以外はどちらが正しいことを言っているのか判断できなくなってしまうというのだ。このようにイスラエルに有利なコメントや情報を流すためにイスラエル側は相当な人数のアルバイトを雇用しているらしい。
日本のマスコミはそもそもパレスチナの話を扱うことが少ないから、ガザやパレスチナとイスラエルの戦争についてあまり知らない人も多いだろう。それに何か大きな事件がニュースになったとしても、パレスチナ人側の人たちの声が届くことは少ないから、パレスチナ人の発信するニュースを読まないとわからないのだと、岡先生の話を聞いていて感じた。
おそらく同じように感じていたイベントの参加者のひとりが、対談のあとの質疑の時間に、「この問題について知ることができる、信頼できるニュースメディアは何か」と岡先生に質問してくれたときに岡先生が教えてくれたのが、THE ELECTRONIC INTIFADAというメディアだった。インティファーダという言葉を聴いたことがある人は多いと思う。
英語が苦手な人は読みにくいかもしれないけれど現地の写真をまとめた記事もあるので、今年、世界報道写真展が開催されなくなった分、この写真を見てパレスチナの最近の様子を知ってほしい。
久しぶりにこのニュースメディアを見ていたら、ガザで若者の自殺が増えている話があって、それについて要約して載せようと思ったけど、あまり重いことばかりでも読む人がしんどくなってしまいそうなのでやめておく。気になった人は、THE ELECTRONIC INTIFADAから探してみてほしい。アメリカの会社が作ったgoogle翻訳も役に立つかもしれない。
僕たちが普通に生きていて入ってくる国際社会のニュースは声を上げられない弱い立場の人たちの話ではなく、権力者の行動とか、大国の出来事に偏っていたりする。だから世界をきちんと知りたいのなら、そうでない人たちの声を積極的に拾っていかないといけない。そのためにも、ちょっとでも母国語以外の言葉もわかったほうが良さそう。
ガザはこれからどう変わっていくのだろう。地下鉄が走る日は訪れるんだろうか。
事故が起きるまで国の場所さえも知らなかったモーリシャスの自然に、人々に、どんな未来があるんだろう。日本人の自分は何を知ってどう考えるべきなんだろう。
たまには大人らしく、真面目なことも考えないといけないなあ。